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書 評 課 題 (第1回) | |||||
辻大介ゼミ6期 | |||||
山田博 監修 本書は、精神科医や家庭裁判所調査官などの専門家*1 が書いており、家庭問題情報センターの理事長が監修している。彼らの視点から、若者たちの社会的ひきこもりについて 第一章では、まず、「社会的ひきこもり」と社会的背景・原因・症状について説明している。今日、「ひきこもり」の確立した定義はないのだが、著者は、「子どもから大人に移行する時期の心理的危機に、ひきこもりと名づけられるような反応を示している状態」と定義している[←*3]。社会的ひきこもりがふえている時代的・社会的要因としては、四点あげている。一つ目は、モラトリアムの延長である。公的教育期間の長期化により、以前と異なり、高等教育を受けることが一種の若者の権利のようなものになってしま 次に、親としてどう対応していくかについて 第二章では、カウンセラーや大学教員などの専門家が、様々なひきこもりの相談にQ&A形式で答えている。ひきこもりの若者たちが社会復帰にむかえるよう、親や学校がどう対応するべきかなど述べられている。 第三章では、ひきこもりの相談や援助について、今どんな状況にあるのか、家族で構成されているある自助グループと、それと提携する個別相談・援助の内容について紹介している。まず、本人のために良い環境を設定できるよう環境調整を行う。相談の目的は、本人と家族との相互的コミュニケーションの回復だという。 第四章では、第三章で述べたところを、二つの事例に即して具体的に紹介している。来談までの経緯、来談後の経緯、援助の展開、援助の仕上げを、本人の母親が語るという形で紹介しており、回復は医師やカウンセラーだけでなく、家族や友人など多くの人々の助けを得て成し遂げられるものだと強調している。 本書の最後には、公的相談機関一覧が この本は、ひきこもりに悩む家族や周りの人、また自分がなぜひきこもりの状態なのか知りたい本人にとって、ひきこもりについて正しく理解し、どのように対応すればよいかを知ることのできる一冊だ。 「ひきこもり」という言葉は、20世紀の終わり頃 ただ、ひきこもりの社会的要因については、事例はあげられているもののはっきりとした科学的データが示されておらず、論拠が明確ではない。例えば、若者は携帯による広く浅い交際を好む傾向が一般化しているという叙述があるが、そ とはいえ、ひきこもりに関心がある人もない人も、是非読むことを薦めたい一冊である。 2005/05/22 *1:何の専門家?ひきこもり問題に関する専門家ですか?この点をきちんと書く。 [ comment ] |
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